オレはとある雑誌の女記者に、とあるレポートの依頼を受けた。
そんな柄じゃないからと何度も断ったのだが、とうとうこうしてパソコンの前に座る羽目になってしまった。
全く、自分で自分に呆れてしまう。お人好しにも程があるだろうに。
レポートの内容は簡単だ。『ルパン三世とその一味』について、思い付くままに書けば良いらしい。
オレは文章が下手だぞとは忠告しておいたのだが、記者はそれでも構わないと言った。
口語で良いとも言ってたが……知らねぇぞ、どうなっても。
ルパン三世と、その一味か。
あまり格好の良い呼び方じゃねぇな。
それはともかく、何も思い付かないから、先日起こったちょっとした出来事についてでも書くとするか。
発端は、裏世界の噂だった。
なんでも、ルパンがどこぞのマフィアにとっ捕まったとのことだ。
おいおい、マジかよ!? オレは何も聞いてねぇぞ。
気になって調べたところ、そのマフィアとはインゴート・ファミリーだと分かった。
最近売り出してきた、いわば裏世界での新参者。
間違っても、アイツが実力で負けるような相手ではない。
と、すると──
何か裏があるに決まっている。
最近アイツはこのアジトへは顔を出していなかったから、その可能性が高かった。
……オレを呼んでいるのか!?
その時オレは、何故かそう思った。只の勘だが、こういう場合、外れることは珍しい。
わざわざマフィアのアジトに呼び出すとは、一体何を企んでいる?
オレに何をさせる気だ!?
なにやら嫌な予感がしないわけではなかったが、オレは誘いに乗ることにした。
他ならぬ、アイツのためだ。
それに、最近「仕事」がなくて、暇を持て余していたところだったからな。
渋る五右ェ門をなんとか説き伏せて、オレたちは目的地──つまり、インゴートの屋敷へと向かった。
ここでの闘争については、別段書くべきことは無い。
ロクに訓練を受けていなさそうな下っ端どもを片っ端からぶっ飛ばし、
慌てて駆け付けて来たボスまでもをついでに殴り倒して、
あらかじめ見当を付けておいた一番奥の部屋に急いだ。
果たしてそこには、見慣れたルパン三世の姿があった。
「久しぶりだな。何やってんだ、こんなところで」
オレの問いに、相手は微笑んだ。
「きっと来てくれると思って
「ちょっと待てよ、ルパン!!」
後ろから突然声を掛けられ、ルパンは思わずキーを打つ手を止めた。
「どったの、次元ちゃん」
「どうしたじゃねぇだろ、それじゃあまるで、この“オレ”が“オマエ”を助けに行ったみたいじゃねぇか!」
「んぁ? そ〜かぁ??」
ルパンは、正面のパソコンの画面を再び覗き込んだ。
そこには作成途中の『原稿』が打ち込まれている。
「……確かに、そうも取れるかね〜?」
「そうとしか取れねーよ。冗談じゃねぇ」
どうやら次元は、ルパンがどうレポートを書くのかを、さっきから監視していたらしい。
「五右ェ門の名前しか出してねぇからだろ。ここにオレの名を入れて……」
と、次元が横から手を伸ばすと、勝手にマウスを動かしカーソルを移動させる。
「だいたいなぁ、説明を省き過ぎなんだよ。それに、全然“ルパン三世”の口語になってねぇし」
「しょうがねぇだろ、こーゆー原稿ってのに慣れてないンだからよ」
「そんな面倒くさいものを引き受ける、オメェが悪い」
次元の返答は、にべも無い。
「しかしまぁ、たいした謝礼が出るわけでもないのによくやるぜ。そんな物すっぽかしちまえばいいじゃねーか」
「カワイコちゃんとの約束は、守ることにしてんのヨ。それに、麗しの記者・シンディちゃんのお礼……ムフフ〜♪」
「か〜っ! またそれか。付き合ってらんねぇや、全く」
ぶつくさ言う次元に、ルパンはひらひらと片手を振った。
「分かった分かった、ちゃんと打ち直すってば」
そしてその手元からは、再びカタカタとキーを打つ音が聞こえ始めたのだった。
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レポート『ルパン三世とその一味』
〜 訂 正 版 〜
オレはとある雑誌の女記者に、とあるレポートの依頼を受けた。
天下のルパン三世が、そこらの三流雑誌の原稿なんか書けるかい!
……って断ったんだけど、とうとうこうしてパソコンの前に座る羽目になっちまったんだよな。
全く、オレってば、なぁ〜んてお人好しなんでしょ。カワイコちゃんの頼みは断り切れないのヨネ〜。
さて、そのレポートのタイトルってのが、『ルパン三世とその一味』だ。思い付くままに書いてくれってさ。
喋り口調でもいいらしーけどな、ホントにいいのかい? こんな感じで。
ルパン三世と、その一味か。
もぅちっと、カッコイイ呼び方は無いモンかねぇ〜?
それはともかく、何もいいネタを思い付かねぇぞ。
しょーがねぇから、先日起こったちょっとした出来事について書くな。
苦情は受け付けねぇぞ!
発端は、裏世界の噂だったンだ。
なんでも、「ルパン三世」がどこぞのマフィアにとっ捕まったってさ。
おいおい、マジかよ!? オレはちゃ〜んとここに居るってぇの!!
調べてみたら、そのマフィアとはインゴート・ファミリーだと分かった。
最近売り出してきた、いわば裏世界での新参者。実力だって知れたモンだぜ?
もちろん、この「ルパン三世」が負ける相手でもねーし。
でもな……聞いたところによると、何やら珍しいお宝を所有してるらしーんだ。
インゴートがそれを、どうやって手に入れたかは知らねぇけどな。
と、すると──
……不二子か。
不二子がお宝を奪取する上で何かを企んでいて、オレの名を騙ってマフィアのボスをも取り込み、当の「ルパン三世」が来るのを待っているに違いねぇ。
呼んでるンだ、このオレを。
これは自慢だけっどもよ、こういう場合のオレの勘って、滅多に外れないんだよな〜。
最近不二子はこのアジトへは顔を出していなかったから、その可能性が高いしな。
さぁて、不二子ちゃんってば、一体何を企んでるんだろうね〜。
全く、オレに何をさせる気なんだか。
どうせ利用するつもりだろうってことは分かってたけども、オレは誘いに乗ることにした。
他ならぬ、愛する不二子ちゃんのためだもんネ〜♪
それに、最近「仕事」がなくて、暇を持て余していたところだったからな。
渋る五右ェ門をなんとか説き伏せて、オレたち──要するに、オレと次元と五右ェ門はインゴートの屋敷へと向かった。
次元は賛同してたわけじゃなくて、どうやら諦め半分だったらしい。まぁ、ゴクローサン。
ここでの闘争については、別に詳しく書かなくてもいいだろ?
ロクに訓練を受けていなさそうな下っ端どもを片っ端からぶっ飛ばし、
慌てて駆け付けて来たボスまでもをついでにオネンネさせて、
あらかじめ見当を付けておいた一番奥の部屋に急いだんだ。
不二子はインゴートの「客」だ。地下牢とかには居るわけねぇよ。
そしたらやっぱり、そこには「ルパン三世」の姿があった。
もちろん不二子の変装だぜ?
オレは飛びっきりの笑顔で微笑んでやった。
「不〜二子ちゃ〜ん、ひっさしぶり〜♪ 何やってんの、こんなとこでサ」
そしたら、不二子もさっさと変装を解いて、微笑み返してくれたんだよな。
「きっと来てくれると思ってたわ、アタシのル・パ・ン♪」
やぁ〜っぱ、不二子ってサイコー!!
ついでに言っておくと、次元も五右ェ門も、マフィアどもをやっつけてとっとと帰っちまってた。
全く、付き合いが悪いねぇ〜。
不二子の企んでたことだけっどもよ、やっぱりインゴートのお宝を狙ってたんだ。
新参者のファミリーが名を上げたがってるのを知って、力を貸してやると言う名目で、
「ルパン三世」として近付いたらしい。
オレってば、有名人だかンなァ〜♪
そして密かに盗み出そうとしたけど、金庫が結構強固で一人じゃあ手に負えなかったらしい。
そんで、オレを呼んだんだな。「ルパン三世が捕まってる」って噂を流してさ。
ま、オレが来なけりゃ、それはそれでどうにかしたんだろうけど。
インゴートは不二子の企みには何も気付いてなかったんだろなぁ。
つーか、その「正体」にも気付いてなかったかもしんねぇし。
つくづく気の毒なオッサンだよな。笑っちまうぜ。
もちろんその後、お宝を頂戴して二人でトンズラだ。
例によって不二子はお宝を一人占めしようとしたけど、もともとオレは関知してなかったから、
全部プレゼントしてやったよ。
な、オレって気前良いだろ〜?? イイ男ってのは、心が広〜いモンなのヨ♪
ま、こんな感じがオレたちの「日常」かな。
よくあるんだぜ、こーゆーこと。
誤字脱字は勘弁してくれ。もう見直したくもねぇよ。
じゃあ、レポートはこの辺で終わるとするか。
また会おうぜ!!
written by ルパン三世
追伸:シンディちゃ〜ん、お礼期待してるぜ〜vv
ヘンなタイトルでスミマセン。てゆーか、これ小説だろうか!?(;^_^A
読者を騙そう!! ……と言うコンセプトのもとに書きました♪(爆)
前半で騙されてくださった方、いらっしゃると嬉しいなァ〜……vv(小声)
二度も同じ内容(レポート)を書くのはどうかと思うけど、 微妙に書き方を変えているので勘弁してやってください( ̄∇ ̄ゞ
やっぱり「ルパン語」って難しいデス。どう書けば良いんだろ??
ちなみに、2個所カーソルの画像(らしきモノ/笑)を入れてますが、ちゃんと表示されてますか〜?
(2003/12/13)