墨縄一族と風魔一族それぞれの謎について検証しようとすると、両者とも必ず紫誘拐のことに言及することになる。 と言うわけで、この事件に関しては独立して扱うことにした。
つまり正しく言えば、『花嫁誘拐事件を背景に、両家の謎を検証する』となる(かもしれない?)
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作品中、紫は風魔一味に誘拐されてしまう。
これは、敵が標的の壺を奪えなかったために起こった出来事である。敵は、紫と引き替えに壺をよこせと要求した。
しかしそれならば、墨縄家の中で今まで誰も誘拐されたことはなかったのだろうか?
例えそれが紫でなくても、墨縄家の人間──特に本家の人間──が相手だと、充分人質としての価値はある。 風魔側は、少なくとも一度はそう考えたことがあるはずだ。
もし実際に誘拐事件が起こっていたとしよう。風魔は当然壺との交換を要求する。
しかし、総帥は今回同様拒否したに違いない。何といっても、大切な孫娘相手でも壺の方を選んだくらいなのだから。
ということは、見殺しにされて死んだ人間がいたのだろうか…?
しかし作品中そんなことは一度も言われていない。もちろん、あったのに言わなかっただけかもしれない。
だが、結婚式場であっさりと風魔の連中に侵入を許したことから、今までそういった事件がなくて油断していた、とも言うことが出来る。

ならば何故、今まで(400年間も)風魔はそういう手段(=人質と壺を交換)を取らなかったのだろうか?
もしかすると、大事(オオゴト)になるのを防ぎたかったのかもしれない。誘拐事件となるとほぼ間違いなく警察が介入してきて、壺をますます手に入れにくくなる。 彼らが警察を恐れているとは思わないが、誘拐事件を起こして警察を呼ぶより、地道に壺のみを狙おうとしたのかもしれない。 彼らの目的は壺(財宝)だけなのだから。
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紫の誘拐については、壺を奪えなかった場合もともとさらうつもりだったのか、はたまた敵がとっさに考えたことなのかは不明である。
しかし今まで避けていた(と思われる)『誘拐』という手段を使う気になったのは、風見の存在が大きいと思う。 つまり、警察内部に腹心の部下を潜り込ませることによって、自分たちに有利なように警察を動かそうとしたのだ。
事実、風見はルパンを「婦女誘拐」の罪で追っていた。 実際に紫をさらったのはもちろん風魔一味であるが、事実を偽りルパンに罪を押しつけることによってルパンの動きを封じ、自分たちは自由に行動している。 もし風見が警察に潜り込んでいなければ、あの誘拐はなかったのかもしれない。

ならば何故、罪を押しつける相手がルパンだったのか?
理由は2つ考えられる。

【1】 たまたまルパンが介入してきたからであって、もしルパンがいなくても風見は何とかして風魔の悪事を誤魔化す気だった。

【2】 紫の結婚相手が五右ェ門だったので、必ずルパンも財宝を狙うと考え、もともとルパンに壺強盗の罪を着せる気だった。全部計画の内。

【2】が有力である。
何故なら、風魔一味はルパンの介入を予想していたと思われるから。 式場では最初から風見が見張っていたし、わざわざカメラまで用意して壺に飛びかかるルパンを写している。 あの写真が撮られる瞬間、近くに風見はいなかった。ということは、他の手下も潜り込んでいたのだ。しかもルパンの近くで、いつでもカメラを撮れる用意をして。
そしてそれをエサに銭形まで誘い出し、ルパンの行く手をさえぎろうとしている。

さて、ここで問題が。風魔一族がそんな緻密な計画を立てられるほど頭の良い集団だったのなら、何故今まで400年間も壺を奪うことが出来なかったのだろうか?
後に『墨縄家の謎』でも述べる(と思う)が、そもそも墨縄家が壺を屋敷外に持ち出したのは、あれが初めてだったのではないだろうか。
普段は壺は屋敷の金庫にしまわれ、風魔一味が襲って来ても、からくり仕掛けで追い返す……
というわけで、壺はこの400年間、ほとんど表に出たことはなかったのかもしれない。


以上が、『花嫁誘拐事件』についての検証である(^^ゞ

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