TVスペシャル第23弾 … 初放送日:2012年11月2日
マルコ・ポーロの『東方見聞録』の幻の1ページ(アナザーページ)が発見された。
その石版には財宝の在り処が記されているらしい。 盗みに入ったルパンだったが、発見者である教授が殺害され、犯人として追われる羽目になってしまう。
そんな時、教授の孫娘リサと偶然出会ったルパンと次元は、 敵に狙われる彼女を助け、ICPOの刑事を名乗って財宝探しに協力させようとする。
やがてその嘘がばれ、目の前に居る人物が刑事ではなく祖父殺しの真犯人だと知ったリサは、 震える手でルパンにワルサーの銃口を向けた──
いやぁ、酷かった。びっくりするくらい、つまらない作品でした。
以下、私にしては珍しく(?)全力で扱き下ろします!
だらだらと長いですが、推敲する気も起こらないのでどうか御容赦を。
*          *          *
個人的に近年のTVスペシャルではあまり面白い物はないと思っていますが、 それでも全体を通して見れば、良い部分の一つや二つは見付けられます。 かの『天使の策略』だって、アクションが派手なのは強みかもしれない。……非常に腹の立つ作品ではあるけど(苦笑)
なのに今回は、それがひとっつも(←強調)無かった!!
唯一笑ったのは「ICPOのカーネル警部&サンダース刑事」だけど、 良い部分かと問われれば「別に…」としか言いようがありませんでした。

旧ルがベースのキャラクターデザインは好きなのに、格好良くも可愛くも見えないのは、 作画が頻繁に崩壊するせいでしょうか。……明らかにバランスが変な画がちらほらと。
ルパンの顔には『不敵な笑み』が終始貼り付いてて不自然だし、女性キャラはコナン顔だし。不二子ちゃんは少女だし。
三姉妹の長女・博美が微妙に桔梗っぽいな〜と思ったら、同じキャラデザの人でしたか。 燃えよ斬鉄剣の方が、全体的にデザインが良かった気がするんだけどなぁ…( ̄▽ ̄;)


まぁ、問題はキャラデザよりも脚本ですよね。
近年の作品は「1時間で終わる内容を2時間で」って感じるのが多かったけど、 今回はそれをさらに上回り、「30分で終わる内容を2時間で」って感じでした。
もちろん実際に30分でまとめるのは無理だろうけど、間延びした会話といい、 盛り上がりが全くなくテンポ悪いストーリー展開といい、ものすご〜〜〜〜く薄味でした。

え〜と、どう言ったら良いのかな……
これは別に今作だけに限らないんだけど、一度に「1つのこと」しか出来ていない気がするんですよ。 同時進行で「別件」が起こることがまずない。
……今回別行動の五右ェ門の元でも物語が動いてたじゃないか、と言われそうですが、そう言うことを言いたいのではなく。
例えば、不二子絡みと知って次元が立ち去ろうとした時、ルパンが大声で「財宝」云々と叫びます。
人目を気にしないルパンはルパンらしくて格好良いけど、普通はそのセリフに反応する一般人が少なからず居ると思うんですよ。 思わず振り向いちゃう人が。
直後に追われるリサを助けた時もそう。 一般道を装甲車が乱暴に走り抜けたのに、悲鳴を上げたり慌てて逃げ出す人間が一人も映らない。 よもや近くに誰も居ないのかと思いきや、戦車が水路に落ちた後に通行人がたくさん居たことが判明するし。 ……あんたたち一体どこから湧いて来たのさ!?
五右ェ門たちとの偶然の出会いだって、彼らがあの場になぜ居たのかさっぱり分かりません。
そんな感じで、「ルパンの周りだけでしか物語が動いていない」感じがヒシヒシと伝わって来るのです。 世界観が狭過ぎると言うか。
会話やストーリー展開がテンポ良かったら、多分そんなに気にならないのでしょうけど…。 こんなに余計な「間」があるのになぜ必要な描写をしない!?と思うと、つい腹立たしくなってしまいます…(汗)
*          *          *
全体的なストーリーに関しても、府に落ちない点が多々……
ただし録画を観直したわけではないので、何か勘違いしてたらごめんなさい…m(_ _;)m


冒頭で石版が光って雑魚敵たちが消滅したけど、あれは一体何??
ベルナルドが衛星兵器を使ったのかと思ったけど、それだと石版が光る意味ないし。 って言うか、石版も消し飛ぶだろうし、マンホール一枚隔てただけのルパンだって消えてなきゃおかしい。
でも橋の一部が崩落したのは、衛星武器の攻撃によるものですよね?  う〜ん、分からん…(もしや「生物」だけしか消せない光線なのか? でも橋は生物じゃないぞ…)

途中リサが涙ぐんで飛び出したのはなぜ?
祖父への思いは今まで散々態度に出していたから、 あの時点で飛び出さなきゃならないほどの新たな感情の動きがあったようには見えないんだけど…(私が何か見逃した?)
第一、その大好きな祖父との回想シーンが一切ないから、どれだけ彼女が悲しみに暮れていてもイマイチ感情移入しにくいです。 視聴者にとって教授は「名前と顔しか知らない人」でしかないから。
その教授も、遺跡を爆破してまで一体何を守ろうとしたのでしょう。 オチを見るに、完全に無駄死にとしか思えないのですが…(本人は知らなかったのだからしょうがないけど^^;)

回想と言えば。博美たちの両親がなぜ死んだのかもわかりません。 ……いや、事情は分かりますよ。「一族の使命を守るため」に命を落としたんでしょ?
でもその「使命を守るため」って……何!?(; ̄O ̄)
弁慶の七つ道具(プラス黄金の太刀)のことを知って挑戦して来た凄腕に殺されたのか、 その太刀を探す過程で何かがあって死んだのか。原因がどちらかなのかによって、遺族の思い── そして視聴者の受け取り方──が全く別の物になってしまうと思うのだけど。
だって……「両親の意志を継ぐ」って言ったって、彼女らが具体的に普段何をやってるのか全く描写がなかったし… (掌にタコが出来るほどの鍛錬も、「両親の意志を継ぐ」ための積極的な行動とは言えないですよねー。 鍛錬の結果何をしようとしてるかってのが大切なわけで)
とにかく説明が何もなく漠然とし過ぎているので、住職や孫娘たちが「使命」に対して、 なぜそんなに思い詰めるのかが伝わって来ませんでした。
*          *          *
不二子ちゃんはまたも裏切りキャラですねー。
マルコ・ポーロの隠し財宝を手に入れるためにルパンを唆(そそのか)していたくせに、その一方でベルナルドとも組んでいたり。 ……死の商人の実力を頼みにしたのなら敢えてルパンを巻き込む必要はないから、 ルパンにおねだりした後に財宝を狙うベルナルドの存在を知ったのかな〜?
その辺さらりと流されたから、どうも場当たり的に彼女が動いている気がして、計算高さが感じられなくて残念でした。
……いや、それ言うと肝心のルパンもそうなんですけどね。
マルコ・ポーロが財宝残すなら滞在していた中国に関わりあるはず、と言って取り敢えず北京に行き、 土着のマフィアのボスから伝承を聞き出し、石版の文字が暗号でも何でもない「平泉」だったことを知り、 何の策もなしに取り敢えず平泉に行ったら関わりのある人間(と五右ェ門)と偶然出会って真相を知り、 自分が入手した訳でもなけりゃ存在も知らなかったキーアイテムのおかげでお宝が現れる……
相当行き当たりばったりで、敵に出し抜かれないだけマシな、謎解きとしてはサイテーの部類じゃないでしょうか。 何より、ルパンがほとんど頭使ってるように見えないのが痛いです。

ルパン三世は謎解きアニメじゃないから!と言いたくても、だからと言って特にアクションに力入れてるわけでもない今作。
珍しいですよね、こんなにアクションが目立たないテレスペって。 別にアクションメインにする必要もないとは思うけど、今回みたいなどっちつかず状態なのが一番ダメなのかもしれない…(爆)
冒頭からルパンに全く当たらない銃弾。あんな狭い路地で連射して、それでも一発もかすりもしない名もなき敵の雑魚っぷり。 それはまぁお約束としても、その雑魚たち以上の強敵が居るわけでもないし、単なる装甲車がルパンたちに敵う訳もない。
敵ボスのベルナルドがどれほど冷酷であっても、それに従う部下が総じて無力じゃあ全然緊張感がないんですよ。 衛星兵器だって、あれを上手く使えばルパンを脅すことが出来ただろうに、実際脅威にも何にもなってない。 『ワルサーP38』の時はあんなに恐ろしい武器だったのに。
毎回私は、「ルパンたちそれぞれに因縁の敵を作って、いちいち1対1で闘わせるのはやめろ」と言ってるけど、 強敵が1人も居ないのも逆に残念ですね。
出来れば前回のような1匹のバケモノじゃなく、知略とそこそこの腕で翻弄する敵が1人居れば良いのにな。 ベルナルドはただの武器商人だし(……てゆーか、武器を売って戦争けしかける「死の商人」ネタに既視感が…)

三姉妹の存在価値も分からないです。
ストーリー的には博美だけで充分じゃん。 厳しい鍛錬をしていると言うわりには戦闘シーンがほぼないし、アクションシーンで特別役に立ったような描写もない。 何より、亜美のギャル語は聞いてて鬱陶しくて…!( ̄□ ̄;)
だいたい、住職がわざわざ連れて来た客人を、その住職に相談もせずに勝手に襲うってどういうこと!?
もし仮に五右ェ門がお宝狙いの敵だったとしたら、住職は承知の上で何か考えがあって招いたのか、 或いは逆に全く知らずに招いたことになる。 どっちにしても、無断での五右ェ門襲撃は住職を侮っていることになっちゃうんですがね……
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その五右ェ門は、また修行なのね。
心身の鍛錬のための修行ならともかく、今更「刀を持つべきかどうか」って……。 一体何度迷えば気が済むんでしょうねぇ、このお人は。毎回「悟って」るはずなのに!
五右ェ門が刀を使わない展開にしたがるのは、それだけ斬鉄剣の扱いが難しいことの表れなのでしょうけど。 風魔のように、普通の「よく斬れる刀」として出してくれたらそれで満足なのになぁ…(;^_^A
素敵な女性に頬を赤らめるのはまだいい。でも、風呂で慌てた挙句に「戸がね、開かないの」って!  あんなので「きゃvv 五右ェ門ってばカワイイ♪」と思える視聴者が果たしてどれだけ居るというのか。 「ゴエゴエ」もねぇ……受け狙いにしても寒過ぎます。
ラストの衛星を(気合で?)斬るシーンはあからさまにギャグオチだけど、いくらなんでもやり過ぎだと思いました。 あれじゃあ、いずれ流れ星とか月だって斬れちゃうよ!?(ギャグシーンで本当にやりかねないから困る/汗)

次元が目立ってたのは、不二子絡みだから降りる!と言い出した時くらいですね。
後は特別相棒として活躍したわけでもないし、別に次元じゃなくても良かったんじゃない?って程度でした。

銭さんは、そこそこ格好良かった……かな?
でも声がね……。さすがに演技力には文句ないけど、テンションによって声が納谷さんに似てる時と全然違う時があって、 一瞬「今喋ったの誰だ!?」と混乱しちゃいます。

クラウディオ先生は、立ち位置からして怪しいのがバレバレでしたね。
元々教授に対する殺意はなかったようなので、汚名返上の機会(リサを庇って死ぬとか)があるかと思いきや、 結局リサに見捨てられて爆死という後味悪いラスト。
それなら変にひねらずに、根っからの小悪党キャラにしときゃ良かったのに…。

そう言えば、ルパンはなぜ空砲ワルサーをリサに渡したんだろう?
リサの足で博美の乗せられた車に追い付けるはずないのは分かってるだろうし、 途中でクラウディオと合流することを予期してたのでしょうか。 でもそれにしたって、わざわざ撃たれてやる必要性が全く分からないのだけど…(銭さんにすぐバラされてるし)
それにしても、リサは随分とお子ちゃまでしたね〜。とても二十歳前後の大学生とは思えない。
ゲストヒロインとしてでしゃばらないのは良かったけど、守られるだけでめそめそしっぱなし、 自分から積極的に謎解きをするほど賢いわけじゃないから、たいして役にも立ってない。 正直、あまり良い印象はないです。
*          *          *
……そんな感じで、思いっ切り目が点になる作品でした。
冒頭でも書いたけど、いつもだったら良いところの一つや二つ見付けられるんですよ。 例え肝心のストーリーがつまらなくとも。
キャラデザが好みだとか、このアクションシーンが格好良いだとか、この設定が良く出来ているだとか。
でも今回はキャラデザ崩壊、アクション控え目、その上テンポの悪くて薄〜〜い内容。 ……もう、どうしたら良いか自分でも分かりません…(><;)

……あれ? 思わせぶりに名前が出て来た公爵って、結局ただの出番なしの脇役??

(掲載日:2012/11/11)

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