秀一はいきなり紫の左腕を掴む。
上着で隠れてはいるが、その下にはかつてかの人物に付けられたという太刀傷があった。
「奴は、お前を守れなかったんだぞ」

「嫌! 触らないで!!」
紫は激しく身をよじり、秀一の手を振り払った。
傷跡があると思われる場所に右手を当てて一歩下がる。

まるで、その傷を付けた人自身を庇うかのように──


── 『ある秋の日に』より抜粋





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